アリエノール・ミルフィシア・レイヴェル=オルティス・サフィリア・ノア・リュクスエル・ヴァン・クローネリリー。
通称、ネリリー。
彼女は、リュミナ=セレスティア連星王国 第34代 星冠継承姫。
現国王の娘として生まれ、王家の正統な血統と、星冠を継ぐ資格を持つ姫である。
幼い頃、王国では「星冠沈黙事件」と呼ばれる大事件が起きた。
代々、王家の正統性を示してきた星冠が突然反応を失い、王宮内では王統への疑念が一気に広がった。分家、議会派、軍部の一部がそれぞれ動き始め、リュミナ=セレスティア連星王国は内乱寸前まで追い込まれる。
その混乱の中、幼かったアリエノールが星冠に触れた瞬間、沈黙していた星冠は再び光を取り戻した。
王国は彼女を正統な継承者として認め、彼女の存在によって王家の権威は守られた。
しかし、その奇跡には代償があった。
星冠はアリエノールを継承者として認証する過程で、彼女の感情記録の一部を奪った。
その日を境に、彼女は心から笑う感覚をうまく思い出せなくなった。
王国にとって、アリエノールは王統を救った象徴であり、未来を託された姫。
だが本人にとっては、王国を守るために「普通の少女としての自分」を少し失った存在でもある。
性格は静かで礼儀正しく、感情を大きく表に出すことは少ない。
冷たいわけではなく、むしろ人の痛みや不安にとても敏感で、相手を傷つけない言葉を選ぼうとする。
誰かに守られる姫に見えながら、内側には強い責任感と覚悟を持っている。
彼女は自分の寂しさや不安をほとんど表に出さず、王族としての役目を優先する。
けれど本心では、星冠継承姫としてではなく、ひとりの少女として見てもらうことを密かに望んでいる。
王宮では多くの者が彼女を敬い、崇め、距離を置く。
だからアリエノールは、常に人々に囲まれていながら、深い孤独を抱えている。
彼女にとって本当に大切なのは、忠誠でも称賛でもない。
正式名でも、肩書でもなく、ただ**「ネリリー」**と呼び、役目の奥にいる彼女自身を見つけてくれる存在である。
王国を救ったことで、自分自身を少し失った姫。
それが、アリエノール・ミルフィシア・レイヴェル=オルティス・サフィリア・ノア・リュクスエル・ヴァン・クローネリリーという少女である。