AI art "第182話 大山さんとパンちゃん"

第182話 大山さんとパンちゃん

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街路樹も色付き始め、秋も深まった頃。 小谷くんは自室の水槽を一人で眺めていた。 水槽の中には金魚が数匹、大半が中学から買い始めた子達だ。 その中でもひときわ体が小さく、体色が白黒の金魚がいる。 名前はパンちゃん。パンダみたいな柄からつけられたその名前。名付け親は別にいる。 大山シオリさん。 クラスの同級生で、自分でいうのもむず痒いが、自分の事を好きだと言ってくれた女性。 そんな彼女とは夏休みのデートを経て、関係が深まったと思う。 最近では部会でも顔を合わせるようになり、手を振り合うくらいにはなった。 おそらく学校で一番仲の良い異性を挙げるなら彼女になるだろう。そのくらいの関係性。 そんな彼女の事を頭に浮かべながら、パンちゃんを眺める。 大山さんが金魚すくいで、文字通り掬ったパンちゃん。しかし、家庭の事情もあり、この家に引き取られた。 勿論、彼女は家で飼えないことは言っていたし、自分が引き取ると言った上で、焚き付けたので彼女に全く非はない。水槽の中が賑やかになったし、元気そうに泳いでいる姿を見ると嬉しくなる。 とはいえ、名付け親とこのパンちゃんが離れ離れになっているのも、また事実。 時より、パンちゃんの様子を伺うメッセージが飛んでくる。 その度に代わり映えのしない画像を送っているのだが、果たしてそれでだけで良いのだろうか。 はたから見たら難しいことを考えているように見えるかもしれない。 しかし、彼の悩みというか、考えは単純明快。 パンちゃんと大山さんを引き合わせる為、彼女をこの家に招待するか、否か、だ。 小谷くん「呼んだら、来てくれるかもだけど…」 そもそも異性を家に呼んだ事がない。 しかも、お互いに何となく意識しているのだ。ハードルも上がる。 やましい事をしている筈は無いのに、妙な罪悪感というか、悪いことをしている気分になる。 加えて、この家には勿論、家族もいる。 妹達なら問題ないと思うが、問題は母親。 少々子供の事が好き過ぎる母親は、何かと自分に彼女はいないのか、早く結婚しないのかと迫ってくる。 そんな母親がいるこの家に、果たして大山さんを呼んでよいものか。 小谷くん「……もっとシオリさんの事、知りたいな」 少し前の自分なら、彼女の家に呼ばれたことがあるから、逆に呼ばないのも失礼と、何かと言い訳をつけていたかもしれない。 だけど今は違う。 親愛か恋愛かは分からないが、彼女のことがもっと知りたい、仲良くしたい、時間を共有したい。 それが本音。 小谷くん「まずは、予定を聞かないと」 母親の事は頼りになる妹達に相談すれば何とかなる…かもしれない。 若干、問題を先送りにしている気もするが、未来の自分に任せるしかない。 小谷くん「決めた。シオリさんをこの家に呼んでみよう」 小谷くんはスマホを手に取り、何度も文字を打っては消す。 意識し過ぎないように、自然にスマートな文章にしなければ。 そんな彼の気持ちを知らないパンちゃんは、優雅に泳ぎながら、小谷くんに餌をねだるように口をパクパクさせた。

少年の指の数が4本だから、5本に美しく再生成して。

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