宿場に着き👁精魂尽き果て
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疲労の溜まった体に鞭打ち半刻ほど街道を行くと、だんだんと人通りが増え、そのうちに濃紺に塗られた門と木製の塀で隔てられた区画に辿り着いた。内側では大通りに沿って遠くまで屋敷が建ち並んでいる。 ここが百目鬼様の言っていた宿場なのだろう。笠を被った旅人や商人と思わしき人々が行き交っている。 「や、やっと着いた……」 立ち止まって息をついたその時だった。 足の力がふわりと抜ける感覚に襲われ、私は体勢を崩す。慌てて立て直そうとするものの、膝が笑ってしまい直立を保てない。 「ど、どど百目鬼様、失礼ながら少し掴まっても?」 震え声で尋ねながらもそれ以上自分だけでは立っていられず、百目鬼様の了承を待たずしてその着物の端を握りしめた。 「しか言ひつつまことに尾籠をするものかは」 彼女は鬱陶しそうに顔をしかめるが、その場で振り払うことはしなかった。代わりに首を横に振り、憂うように言う。 「このやうでは先ぞ心に懸かるる。汝が天命を全うする前に行く先へ至れやはせぬ」 「それほどまでに遠いのですか……」 「凡そ歩きて二、三日をや要ぜむ」 「さすがの私でもそれくらいならなんとかなると思いますががが」 「然る様子にて言ひても疑はし」 「返す言葉もありません……」 決まりが悪く、裾を掴んだまま顔を彼女の着物に埋める。 温かさは感じない。重ねられた着物越しに華奢な体つきを感じるくらいのものだが、なぜだか心休まるように思えた。がくがくと震えていた脚が少しずつ落ち着きを取り戻していく。 「ですが、おかげさまで少し良くなりました。ありがとうございます」 「然らばはや離れよ。無期に懐抱したるつもりにや」 「その、もうちょっとだけ掴まっていてもいいでしょうか。居心地が良くて」 「否ぶ。すでに立ちなむ。妾はそばそばし」 百目鬼様が無情にもしがみつく私を引きずるように歩き出したので、渋々それに従う。 とある商家の前で足を止めると、彼女は私を軒先に立たせた。 「妾はここへ用あれば暫時抜けむ。汝は壁に懸かるなどして待て。離るな」 「そんなふらふらできるほどの体力はないです……」 「さては憂ふるに及ばず」 鼻を鳴らし、彼女はその建物の中へ姿を消した。 *Alka*さんの素敵なLoRAをお借りいたしました! *Alka*さん→ https://pixai.art/@alka-kotoriine
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