答えのない男
人の視界は真横よりもやや後方まで広いが、その中に敵の姿はない。燕は刀を握りしめすぐさま振り返った。目の前で消えた男は、後方の建物の壁にもたれ掛かり、腕を組んで立っていた。 スピリア 「そう慌てるなよ。どうしてもやろうって言うのかい?」 燕 「当たり前よ・・・あなたたちを討つ覚悟で私はここに来たわ!」 スピリア 「そりゃそうだよな」 今の一瞬の移動、隙を晒せば簡単に背後を取られるだろう。だが武器は持っていない。奴の攻撃手段は?魔法とやらで、今の距離でも既に射程圏内という可能性は高い。 しかし、手の内を晒させるにはまず追い込まねばなるまい。燕は再び男の方へ間合いを詰めて行った。今度は刀は振らない。やはり先程と同じ距離で、男は煙の如く体が変化して消えた。 前方は壁。また後ろか。 スピリア 「そう、後ろ」 くるりと素早く向きを変えた燕。予想した範囲に敵の姿は・・・なかった。 スピリア 「だが、上だ」 見上げると上空から男が向かって来ていた。右手に光る刀身を持って。燕は反射的に軌道と垂直に刀を構え、間一髪で攻撃を凌いだ。 金属が悲鳴を上げる音が響く。 燕 「くあっ・・・!」 勢いの乗った斬撃の重みで、体が大きくよろける。この刀身はどうやら、自分の刀と同等かそれ以上の質量があるらしい。攻撃をまともに受ければ痛手になる。 スピリア 「へえ、丈夫なもんだね。刀ってのは。よく反応したじゃないか。あんたたちの文化じゃ、空から来るって頭はないだろ」 男の姿がまた消えた。間髪入れずに次が来る。視界の右端に僅かな違和感。至近距離。 燕 「くっ!」 見てからでは防ぎ切れない。急いで体を倒し、地面を転がって左側に回避した。頭上を左から右に光が駆け抜け、風圧が来る。 奴を斬るには、現れる場所を読み切って先に攻撃する必要がありそうだ。攻略の糸口が見えたといえば聞こえは良いが、それは圧倒的にこちらが不利な読み合いだ。 どれほどの距離を移動可能なのか、どういった制約があるのか。現段階では全く解らない。 ーーー こちらはストーリー終盤、「来たか」(作品名)の後のお話です。都VSミルの決着後、燕VSスピリアが始まります。 ◎スピリア・フォルガーの前回の作品 https://pixai.art/artwork/1977200902725846414?utm_source=copy_web
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