SERAPH//XIII : LONGSHOT PROTOCOL
遥かな未来──天界と地獄。 それは人々が古くから語り継いできた二つの世界。 しかし、そこに存在していたのは神話の楽園と奈落ではない。 高度な機械文明によって築かれた、二つの巨大な勢力だった。 天界は秩序を掲げ、完璧な管理社会を築いた。 地獄は自由と力を重んじ、巨大な機械城と戦闘種族によって支配されていた。 長い年月、二つの世界は互いを敵と呼び続けた。 その戦争の中で生み出された最強の狙撃兵。 識別番号――SERAPH//XIII 純白の翼を持つ第十三熾天使。 天界のために造られた、唯一無二のロングレンジ・スナイパー。 彼女のライフルから放たれる光弾は、遥か遠くの敵を一撃で撃ち抜いた。 だが、ある任務の日。 彼女は知ってしまう。 天界が掲げる正義が、必ずしも真実ではないことを。 命令に背いた彼女は、天界から追放される。 翼を奪われることなく。 力を奪われることなく。 ただ一人、地獄へと落とされた。 地獄に降り立った彼女を待っていたのは、歓迎ではなかった。 数百年続いた戦争。 天界の象徴である白い翼。 それは地獄の住人にとって、憎しみの象徴だった。 「天使が地獄にいる」 その事実だけで、彼女は狙われる存在となった。 過去の戦争で家族を失った者。 天界への復讐を望む者。 ただ強者を倒すことを望む機械悪魔。 彼女は望んで戦うわけではなかった。 しかし、生き残るためには銃を取るしかなかった。 やがて彼女は気付く。 地獄にもまた、正義を求める者がいる。 そして同時に、憎しみに囚われた者もいる。 天界も、地獄も。 どちらも完全な正義ではなかった。 だから彼女は決める。 天界のためでもない。 地獄のためでもない。 ただ、この世界で生きる者たちが、 互いを憎しみだけで殺し合わない未来を作るために。 純白の翼を広げ、彼女は銃口を構える。 天界のためでもない。 地獄のためでもない。 ただ、世界に刻まれた歪みを撃ち抜くために。 第十三熾天使。 最後の天使狙撃兵── SERAPH//XIII : LONGSHOT PROTOCOL