羊耳の少女とぬいぐるみちゃん
蝶霞桜
雪の降る日 白い霧が静かに世界を包み込み、 遠くの景色さえ見えなくなっていた。 少女は、 一匹の羊と寄り添いながら、 ゆっくりと歩いていく。 足元には、 雪がそっと音を吸い込み、 辺りは静寂だけに満ちていた。 心の奥には、 まだ解けない恐れが残っている。 小さな不安。 拭いきれない恐怖。 それでも―― 少女は立ち止まらず、 一歩ずつ前へ進む。 羊は何も語らない。 ただ静かに、 少女の隣で歩き続ける。 その温もりだけが、 「一人ではない」と そっと教えてくれていた。 過ぎ去った出来事を、 無理に追いかけなくてもいい。 過去に囚われ続ければ、 苦しみは、 さらに深くなってしまうから。 雪は静かに降り続ける。 霧の向こうには、 まだ見えない景色が待っている。 少女と羊は、 その小さな希望を胸に、 今日も歩き続ける