『星のエプロン』
できた……!』 ついに、星の糸を編み込んだ特別なエプロンが完成しました。 おひさまの光に当てると、星の糸がやさしくきらきらと輝いています。 エナはイスから立ち上がると、完成したエプロンを自慢げにヒカリネコのルルと小鳥たちに見せました。 小鳥たちは羽を羽ばたかせ、祝福の鳴き声を上げました。 一方ルルはベッドの上で欠伸をしながらシッポをパタパタと動かしただけでした。 『ルル!そんな反応ならもうたい焼き買ってあげないからねー!』 そう言うとエナはエプロンを丁寧に畳み、軽く髪の毛を整えて、いつものパン屋さんへと向かいました。 石畳の緩い坂道をエナと小鳥たちは急ぎ足で降りていきます。 天気は快晴。爽やかな風がエナの髪を揺らしています。 パン屋が近付くにつれて、焼き立てパンの香ばしい匂いがしてきます。 エナは外から店内を見渡し、混んでいない事を確認すると扉を開けました。 『あらエナちゃん✨いらっしゃい✨今日もたい焼きかい?』 と店番をしていたおばさんが笑顔で迎えてくれました。 『あのね、今日は2人にプレゼントがあるの!』 エナが小さくたたんだエプロンを手渡すと、おばさんはあら!とびっくりし、あんた!ちょっとあんた!と奥の厨房にいるおじさんに声を掛けました。 『エナちゃん、これを私たちが貰っていいの?』 と聞かれエナは大きく頷きました。 おばさんがやさしくエプロンを広げてみると、胸元には星の糸でお店の名前と星の模様が刺繍されていました。 『まあ、なんてきれいな刺繍のエプロンなんでしょう!』 おばさんは目を輝かせ、さっそく胸にあててみました。 おじさんも照れくさそうにひげをなでながら、 『これは宝物だなぁ』 と嬉しそうに目を細めます。 おばさんはエナの前に歩み寄り、 『エナちゃんが作ってくれたのかい?本当にありがとうね✨エナちゃんのやさしい星の刺繍のお陰で、これからも元気に頑張れそうだよ✨』 そう言うと、エナを強く抱き締めました。 その日、お返しで貰ったたい焼きは、魔法がかかったかのように、いつも以上に甘くてやさしい味がしました。 エナはお腹も心もいっぱいになりました。(ルルも) 【Music 】 Dance (On Sunday) · Marc Ribot 【あとがき】 エナには家族がいません。魔法を教えてくれたおじいさんも、もうこの世にいません。 エナは多くの声が聞こえる事で、孤独を感じにくいですが、聞こえてくる声は幸せな穏やかな声ばかりではありません。 その中でパン屋のおじさんとおばさんは、エナを優しく包み込んでくれる家族の様な大切な存在なのです。

