【.εpb ♯73】地上へ…
・・・・・・・・・ ・・・・・・ ・・・っ ! …陽の光に刺激され、重いまぶたを何とかこじ開ける。 眼前に、見覚えのある街の風景が飛び込んできた。 (……ここは……) 「お目覚めになられましたか、勇者様。」 「…? … 僧侶さん…?」 (そうか… 確か、 僕は、ガラストの墓で…) 意識が覚醒するにつれ、 徐々にこれまでの経緯を思い出してきた。 (そうだ、、、僧侶さんの脱出呪文で……) 「無事、地上に帰還いたしましたわ。」 いつもの優しい微笑みを向けてくる僧侶さん。 その顔はほんのりと汗ばんでおり、 微かにだが、息が荒んでいる。 (ああ……… 本当に……… もうしわけ、ないなぁ……… ……… ありがたすぎて…… 涙が でそうだ……… ) 極限状態を数度味わった後だったので正確では無いだろうけれど… 自分の空腹具合から判断するに、棺の部屋の一件からさほど時間も経っていないように思える。 一瞬・・・、 とは言えずとも、相当な短時間で地上まで移動したことは明白だった。 「勇者様、大丈夫ですか? …どこか痛むところでも…?」 「…いえ、大丈夫です。 問題ありません。」 …どんな時だって僧侶さんは優しい。 …それが自分の矮小さを噛みしめてる最中だと、 正直、けっこうキツいんだけど、、、 ……そんなプライドは、 まとめてガラストの墓の中に捨ててきた…… 意識が落ちるその瞬間に聞こえた呪文の名称… それを拾えたおかげで、地上までの経緯を容易に推測できた。 【 P(フィジカル)・リレミト・・・ 】 …うん。まぁ、 つまりそういうことなんだろう。 僕に余計なストレスを与えないために、優しく眠らせてくれる心遣いまで… 至れり尽くせりだ。 (すごいなぁ、、、僧侶さんは。 本当に感謝しかない。 僕が意地なんか張らずに、最初から全部僧侶さんに任せておけば、あっという間にダンジョン攻略だって終わってたんだろうなぁ、、、) …九死に一生を得たダンジョン攻略の果てに、 達観した顔つきで、力なく微笑む勇者。 果たしてこれは、 彼にとっての成長なのだろうか… 全ての不条理を飲み込む度量を身につけたのか。 あるいは、感情の底に大穴が空いてしまっただけなのか・・・ 「ダンジョン完全攻略、おつかれさまでした。 勇者様♪🩷」 「はい、すべて僧侶さんのおかげです。 ありがとうございました。」