お正月はパンだワン!戌神ころね
正月早々、パンだワン! 窓の外には、雲ひとつない青空にそびえ立つ富士山。 お正月の清々しい空気の中、和室にころねの幸せそうな声が響く。 「もぐもぐ……ふふーん、やっぱり最高だわぁ!」 晴れ着に身を包んだころねは、目の前の豪華なおせちには目もくれず、こんがり焼けたパンを両手で持って幸せそうに頬張っていた。 そこへ、お盆に乗せたお雑煮を運びながらおかゆがやってくる。 「……ねぇ、ころね。ボクの目がおかしくなっちゃったのかな。お正月なのに、なんでお餅じゃなくてパン食べてるの?」 おかゆは呆れたように足を止め、パンを咀嚼する親友をジト目で見つめた。この「THE・日本の正月」っていうシチュエーションで、ひとりだけパン。あまりの違和感に、おかゆのツッコミも追いつかない。 「おかゆ、何言ってるの! 当たり前じゃん!」 ころねは口いっぱいにパンを詰め込んだまま、ドヤ顔で言い放つ。 「うちはパン屋さんなんだよ? だから、一年の始まりの『初食事』はパンにするって決めてるんだワン!」 キラキラした目で断言するころね。その真っ直ぐなパン愛に、おかゆは「やれやれ」と肩をすくめた。 「あはは、さすがころねだね。もう、ブレないなぁ」 おかゆはクスクス笑いながら自分の席に座ると、用意していたおにぎりをパクッ。 「ま、ボクもお餅よりはおにぎり派なんだけどさ。今年もよろしくね、ころね」 「うん! おかゆも、おにぎりいっぱい食べてね!」 パンとおにぎり。 普通じゃないけど二人らしい、賑やかで温かい一年が始まった。
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