[鬼道衆]【茨木童子】VS【???】
ーー…切っても切っても雑兵どもは湧いてくる。 一体全体何時間斬り続けているのだろう。何百何千の兵士たちを切り伏せてきたのだろう。 そう思うほど長い戦いが今も続いている。 【茨木童子】 「……。(クソッ、切っても切ってもキリが無い...。いつになったらこの軍勢は途切れるの…?)」 長時間の戦闘による疲労の蓄積、妖術の使用による妖力消費により茨木童子の表情に若干の焦りと疲労の色が見え始める。 しかしそんな戦闘の最中でも頭の中に一つの違和感が生じ始める。 【茨木童子】 「...。(いくら数が多いからと言ってここまで減らないのはおかしい。…考えられるのは他の雑兵土どもを伏兵させていたか。…あるいは死んだ雑兵どもの死体を[傀儡]として蘇らせ使役しているか...。どちらにしろ厄介極まりないことは確か、か。……待てよ、もし仮に後者だったとするならこんな芸当ができるのはーー…ッ?!)」 向かってくる雑兵を切り捨てつつ考えを巡らせていた時 ーー…突然今までの雑兵たちとは比べ物にならないくらいの圧が茨木童子を襲う。 背筋が粟立ち周囲の空気が一気に重みを増したのを感じた。 【茨木童子】 「ッ!?(なんだ⁈確実にヤバいのが居る…!!…ッそこか!!)」 圧の出所の方に振り返ると同時、今まで向かってきた雑兵達が道を作るように左右に避ける。 その道を全身を黒い鎧で武装した大男がゆったりと歩いてくる。はたから見ればただの武装した武士に見えるだろう。しかし、赤く光る眼や大男から出ている異常なほどの圧や邪気が彼が人間でないということを物語っている。 そして、茨木童子はこの気配を知っていた。 【茨木童子】 「…この気配、……まさか貴様はッ?!」 驚きのあまり大きく目を見開き大男を見据える。 【???】 「…おやおやぁ、懐かしき気配がすると思えばこの俺を葬ってくれた憎き[鬼道衆]の茨鬼じゃあないか。」 茨木童子を見るとニタリと邪悪な笑みを浮かべ親しげに話しかける。しかしその目には友好的な感情など一切なく憎悪一色に染まっていた。 【茨木童子】 「…やはり貴様か、第六天魔王【羅刹】!しかしなぜ貴様がここに居る⁈あの時確かに殺し封印したはずじゃ!」 【羅刹】 「ご名答ォ。確かに、俺はあの時確実に死に、魂は復活しねぇよう厳重に封印されていた。だがなァ、その封印を解いて依代までくれた”もの好き”が居たンだよ。多少の取引はあったがほぼほぼ利害が一致してたんでな、協力することにしたんだよ。」 一度言葉を切るとニヤリと口角を吊り上げ笑う。 【羅刹】 「だから、これでようやくテメェら[鬼道衆]に復讐することが出来る。その1番目の犠牲者が茨鬼、テメェだ。」 そう言うと同時に太刀を引き抜き切っ先を茨木童子に向ける。羅刹の瞳にはドス黒い憎悪と赤黒い殺意が渦巻いていた。 一方の茨木童子はその言葉に怯えるでも激昂するでもなくただ静かに目の前の敵を見つめこう告げる。 【茨木童子】 「そうか。……我らの邪魔をするのであれば、あの時と同じように殺すだけじゃ。元凶諸共な。」 その瞳には『守り切る』という覚悟と目の前の敵を狩る為の殺意が宿っていた。

