Moriel Aster : 07
猫空 (Neko_zora)
冷たい風が荒涼とした世界を吹き抜ける そこには、ほんの僅かな温もりだけが残っていた 封じ込められた記憶 幾重にも氷に覆われた心。 かつて誰かに近づこうとした心さえも、 氷の中で静かに眠っている。 そこは―― 心の世界、そのもう一つの側。 少女は静かに立っていた…… 泣くこともなく、 声を上げることもなく。 星の涙は瞳の奥に留まり、 こぼれることさえなかった。 彼女の手に残されているのは、 僅かな本の頁の欠片だけ。 破れた頁 失われた物語 それでも、 彼女は手放さなかった。 「……私は、どこへ行けばいいのだろう」 答える者はいない。 ただ冷たい風だけが、 荒涼とした大地を静かに吹き抜け、 散らばった頁を舞い上がらせていく。 けれど―― 遠く離れた世界の彼方には、 何かがあるような気がした。 氷もなく、 嘲笑もなく、 ひとりで寒さに耐え続けなくてもいい場所。 疲れた心が、 ほんの少しだけ立ち止まれる場所。 人の心を温める、 小さな居場所。 遠い彼方から、 一筋の微かな温もりが届く。 少女は、そっと顔を上げた 凍りついた心は、 まだ溶けてはいない。 それでも―― その瞬間 氷の奥で、 何かがほんの僅かに動いた。 もしかしたら…… いつか、 心を温めてくれる場所を 見つけられるかもしれない。 今はまだ、 答えを急がなくてもいい。 ただ―― もう一歩だけ、 前へ