実家のような安心感 #2
落花流水


男はここ数日、仕事が終わらず、日がな一日家に籠もってパソコンの相手をしていた。 (これでは東京にいた頃と何も変わらんな) せっかく海に近い家へ越してきたのだ。たまには散歩でもするか――そう思い立った。 「散歩に行くけ? うちも行く!」 玄関の引き戸を開けると、庭で土いじりをしていた人魚が寄ってきた。 一人のほうが気楽だったが、もう彼女はついていく気満々である。 鼻歌交じりに腕を組んでくる人魚。腰から生えた魚の尻尾をぶんぶん振っている様子は、散歩に連れていってもらえる犬のようで、どこか可笑しかった。