Tomo Aizawa
Tropianime
通知を見た瞬間、少女の頭の中は限定アイスでいっぱいになった。 風鈴の音を待ちながら涼を楽しむ夏もある。 けれど少女は立ち止まらない。 食べたいと思ったその瞬間には、もう体が動き出していた。 スマートフォンに映るのは、今日から発売の期間限定フレーバー。 まだアイスショップには着いていない。 まだ買えてもいない。 それなのに頭の中ではもう、冷たいアイスを頬張っている自分がいる。 どんな味だろう。 最初のひと口はどんなだろう。 そんな未来を思い描きながら、少女は夏の歩道を駆け抜ける。 売り切れる前に。 その幸せな想像を、本当のひと口に変えるために。 少女は今日も風を切って走っていく。