スマートフォン
Curry


――週末。 朝。 モツはスマートフォンを片手に、バス停に立っていた。 モツ: 「……なんで私、こんなところまで来てるんだろ」 先日、店の常連客から聞いた話。 どんな病気でも治すことができるという―― 生き神さま。 最初は、ただの噂だと思っていた。 けれど。 あの夢。 あの赤い瞳。 そして、あの声。 『目覚めよ……禁忌の巫女よ……』 モツ: 「…………」 あれ以来、まともに眠れていない。 友達には「お祓いに行け」と言われた。 だから―― モツ: 「……一応、見に行くだけ」 自分に言い聞かせるように呟いた。 ⸻ バスを何度か乗り継ぐ。 都会の景色は次第に消えていった。 住宅街。 小さな商店。 山道。 そして―― 窓の外には、一面の田園風景が広がっていた。 モツ: 「……すご」 黄金色の田んぼ。 遠くに連なる山々。 時折、農作業をする人の姿が見える。 あまりにも静かだった。 モツ: 「……こんなところに神社があるの?」 スマートフォンの地図を見る。 目的地まで、あと少し。 やがてバスが停車する。 プシューッ。 車内アナウンス。 『次は――神さま前。神さま前です』 モツ: 「……え?」 モツが顔を上げる。 「神さま前」という、 妙な名前のバス停だった。 モツ: 「……本当にこんな名前なんだ」 モツはバスを降りる。