第162話 ズルい男
夜も更け、大山さんがスヤスヤと寝息を立てている頃。 小谷くん「ね、寝れない…」 一方の小谷くんは布団の上で一人悶々としていた。 熱帯夜というのもあって、暑く、寝苦しい夜に違いはないのだが、寝れない理由はもっと他にある。 頭にフラッシュバックするのは大山さんと二人で花火を見ていた時のこと。 確かあの時はスケジュール調整の為にスマホを見ていたと記憶している。 そんな時に突然彼女に押し倒されたのだ。 小谷くん「大山さん、顔、近かったな…」 近くてまじまじと見る彼女の顔立ちの美しさに驚いた。 彼女は何も言わなかったけど、ずっとこちらを見つめていて、表情もなんだか艶っぽくて、正直、凄くドキドキしてたと思う。 眼前の彼女の顔立ちや息遣い、身体に伝わる体温や重さ、鼻腔をくすぐる香水の香り、全てが初体験だった。 小谷くん「うーん…。寝れない」 一高校生である自分には処理しきれない出来事。 こればかりは流石に家族や友人に相談できない。 小谷くん「大山さん、本当に僕のこと想ってくれてるんだよなぁ」 最初こそ信じられなかったが、ここまで言葉で、行動で示されると、疑いようがなくなる。 彼女は自分に真っ直ぐぶつかってきてくれる。それが嬉しい。 小谷くん「大山さんは良い人だし、幸せになって欲しいな」 正直、彼女と一緒にいるのは凄く楽しいし、心も落ち着く。 だからこそ、自分が本当に彼女の隣にいていいのか分からなかった。 ようするに自分に自信がないのだ。 小谷くん「僕はズルい男だな」 彼女の好意に甘んじて、今の関係を楽しんでいる自分がいる。 大山さんからもらったイルカのキーホルダーを手に取る。 これを彼女に渡せば、関係は間違いなく変わる。そして、彼女はそれをきっと喜んでくれる。 その時の自分は果たして、どんな気持ちなのだろうかと想像する。 とりあえず渡す? ――そんなの失礼だ。 大山さんの事が異性として好きになってる? ――それはまだわからない。 自分に自信を持ててる? ――多分まだない。 そもそも自信なんて必要あるの? ――分からない。――分からないけど。 彼女の好意を。 行動を。 時間を。 全て無駄だったと、そう思わせるようなことだけはしたくない。 それだけは間違いなく本心だった。
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- Modus
- standard
- Größe
- 1280 x 720
Verwendetes Modell und LoRA
2 private Modelle verwendet
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