46【炭火戦士プリティハーツ】
――翌朝。 モツの家。 店のテレビから、ニュースの音が流れている。 モツはカウンター席に座り、ぼんやりと画面を眺めていた。 まだ少し眠そうだ。 テレビ: 「昨夜未明、上空で確認された巨大な火球について、気象庁などが調査を進めています」 モツ: 「…………」 テレビ: 「専門家によりますと、今回の飛翔体は大気圏内で大規模な空中爆発を起こしたものとみられ――」 画面が切り替わる。 ――軍のヘリコプターから撮影された映像。 夜空。 遠くに浮かぶ巨大な黒い影。 そして―― 次の瞬間。 ドォォォォォン!! 猛烈な光。 空を覆う紫色の煙。 モツ: 「…………」 手にしていたコップが、 カタッ。 小さく鳴った。 テレビ: 「こちらは、現場付近を飛行していた航空機が撮影した映像です」 映像がスロー再生される。 巨大な隕石。 その中心から広がる紫色の煙。 そして―― 画面の端。 ほんの一瞬だけ。 何かが映った。 テレビ: 「……爆発直前、飛翔体付近に何らかの物体が確認できますが、詳細は現在調査中です」 モツ: 「…………え?」 モツが身を乗り出す。 テレビ画面を凝視する。 映像がもう一度再生される。 巨大な隕石。 紫色の煙。 その下に―― 小さな人影。 モツ: 「…………」 時間が止まったようになる。 その姿は小さすぎて、普通なら人間だとは認識できない。 しかし。 モツには分かった。 あれは―― 自分だ。 モツ: 「…………うそ」 映像が終わる。 ニュースキャスターが淡々と話を続ける。 テレビ: 「なお、この現象による地上への被害は現在のところ確認されていません」 モツ: 「…………」 モツはテレビから目を離せない。 昨日の記憶が、 一気に蘇る。 巨大な赤い瞳。 ギロリ。 紫色の煙。 そして―― 咆哮。 ガアアアアアアアアアアッ!!!! モツ: 「…………夢じゃ……」 自分の手を見る。 普通の手。 昨日までと何も変わらない。 モツ: 「……夢じゃなかった……」 その時。 胸の奥で、 ポッ…… 小さな熱を感じた。 モツ: 「……?」 胸元に手を当てる。 何もない。 モツ: 「…………」 しばらく黙ったまま、 テレビを見る。 画面には、何事もなかったかのように朝のニュースが流れている。 モツ: 「……じゃあ……」 モツの顔から、血の気が引いていく。 モツ: 「……ホルモンも……本当に……?」 その問いに、 返事はない。 モツ: 「…………」 しばらくして、 モツはゆっくりとテレビから目を逸らした。 そして、小さな声で呟く。 モツ: 「……最悪……」

