あの夏、海へ #2
落花流水
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お盆が近付くと思い出す「冒険」がある。 忘れもしない小学一年の夏、私が新しい自転車を買ってもらって間もない頃だ。 自転車に乗って遠くへ行きたいという、純然たる欲求が幼い私の中に渦巻いていた。 「じゃあ行こうかー。どこがいい?」 なぜかその時、我が家に遊びに来ていた従姉(あね)が誘いかけてきた。 夏休みの暇を持て余していたのは、当時も一緒だった。 当時、従姉は小学五年生だったはずだが、ノリの良さはその頃から変わらない。 「海!」 私は即答した。 それはほんの軽い気持ちだった。 夏だから海という、極めて即物的な考えだった。 抜けるような青空の下、大した準備もしないまま、私たちはペダルを踏み出した。 海へ向かう県道は交通量が多い。 だから田んぼ道を突っ切ってショートカットする――という、幼いなりの合理的な作戦をとった。 片道三十分かけて海へ向かってペダルを漕ぎ続け、一時間ほど波打ち際で遊び、また三十分かけて帰ってきた。 渇きと疲労感でへとへとだったが、従姉と冒険を成し遂げたという達成感に浸っていた。 ところが私たちが帰宅すると、家には母と祖父母が待ち構えていた。 【#2へつづく】