あの夏、海へ #1
落花流水
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【#1よりつづき】 ……子供たちだけで海へ行ったことで、大騒ぎになっていたらしい。 オロオロする母と、安堵感から腰が抜けたようになっていた祖母を尻目に、当時まだ存命だった祖父の雷が落ちた。 この時期は水難事故が多い。 子供だけで、しかも何も告げずに海へ行くのはとんでもない、と叱責が飛んだ。 特に年長だった従姉は、厳重に注意されていた。 当時の私は唇を噛み、祖父と従姉の横顔を見つめていた。 自分たちだけで行っても問題ない。 波打ち際で遊んだだけだから、危なくなんてない。 祖父は心配しすぎだ――。 そんな言葉が、喉のところまで出かかっていた。 * * * 大人になった今にして思えば、私も従姉も、かなり無茶をしていた。 思い返すだけで冷や汗が出る。 けれど、その頃――中学一年生だった私は、まだそこまで思い至っていなかった。 あの一件で祖父に対して抱いた、わずかなわだかまりのようなものも、心の底に残っていた。 それを思い出させたのは、祖母だった。 昼食時、祖母が昔の思い出話としてあの「冒険」のことを口にしたのだ。 途端に、あの時の感情まで蘇ってきた。 「じゃあさー。ご飯食べ終わったら、海へ行こうか?」 従姉が突然言い出した。 彼女はどうやら、もう一度あの「冒険」をやり直すつもりらしかった。