【最悪】への反抗
俺は結末を知っている。 この洞窟に囚われたエルフ達全員の未来は閉ざされ、俺を含むオーク達は後に討伐に来る勇者達から全員斬首される。 どちらかといえばエルフ達を捕らえたくない側だったがあの時の俺は流れに身を任せる1匹のオークに過ぎず、一般的に想像出来うる【最悪】の結末を辿った。 そのために俺を含むオーク全員も【最悪】の末路となった。 だが、もし。 囚われたエルフ達を逃がす行動を取り、かつ俺達を仕切るボスオークの首を取ることが出来れば― 「何の運命の悪戯かは知らねえけど、俺みたいな一介のオークごときが何故かこの後の結末を覚えているんだ、どうせなら反抗してみるか…この【最悪】に」 そうして俺はエルフ達を逃がすことを決行するが、後少しのところで不審な動きは見破られ、ボスオークの怒号とかつての仲間達の雄叫びが洞窟内に響き渡る。 「もうここまでか!だがよ…せめてこの最後の3人だけは逃げ切らせてやらぁ!」 正直肉弾戦には自信がない。 何故なら筋肉が他のオーク達より二回りも細いから、こんなので武器の打ち合いなんかになったら間違いなく弾かれ俺は処されることだろう。 だが、だからこそ最期まで諦めるわけにはいかなかった。 そう決意を胸に刻んだその時― (…な、なんだ!?俺の左手から何かが!?) それは決意の表れか、はたまたただの幻覚か、左手に謎のオーラ?らしきものがゆらゆらと揺らめいていた。 (なんだかさっぱりわからねえが…とにかくなるようになれだ!) そうして俺は背後で怯えてるエルフの少女達を背に正面に斧を構え、迎え撃つ準備をする。 勝算は皆無に等しくとも左手の何かがもしかしたら何かしらをもたらすのでは、という根も葉もない希望を持ちながら―。
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