月草
月草
夏休みに入り、今年から小学生になった娘をプールに連れていく。 「パパ、ホラ見てー!舌真っ赤になったよー」 氷イチゴを頬張る娘の姿を見ながら、16の時のガールフレンドを思い出した。 あの頃、俺は野球部の一年生で、毎日タマ拾い。グリグリの坊主頭に真っ黒に日焼けした姿を見て「焼き栗」なんてアダ名を彼女につけられた。 「そだ、プール行こうよ。部活が休みの日にさ」 市民プールは夏休みということもあり大盛況だった。 彼女は準備体操もろくにせずプールに飛び込む。 「早くこっちにおいでよ」 彼女の笑顔と水音が、慌てて脱いだシャツに吸い込まれていく。 時間が止まればいいと思った。 君にもう一度あいたいな、 氷イチゴの真っ赤な舌で笑ってた。