従姉(あね)の背中 #2
落花流水
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終着駅から海水浴場まで、しばらくゆるゆるとした坂道を下る。 沿道には海水浴客向けの民宿や食堂、浮き輪やビーチサンダルを売る店も軒を連ねていた。 それらが途切れる頃には湿った海風と海の匂いに混じって、波音もわずかに聞こえだした。 私は従姉(あね)と顔を見合わせた。お互い気分が高揚しているのがわかった。 この地域では海岸線に沿って黒松の防風林が続いている。松林を抜ければ海はもう目前だった。 薄暗い松林に足を踏み入れると、従姉の歩調がわずかに速くなった。 思わず私は従姉に声をかけた。 「従姉(ねえ)ちゃん、ちょっと待ってよ」 「やーだよ。だってもう水着、下に着てるしー。私が海に一番乗りするんだ」 従姉は一瞬振り返り、いたずらっぽく答えただけで、ドンドン先へ進んでしまった。 屈託ない彼女の笑顔の向こうに、白い砂浜がちらりと見えた。 従姉の用意周到さに呆れながらも、私は負けじとその背中を追って、脚を速めた。 海はすぐそこだった。