旗の揺れる校庭で、オルタはトロンボーンを抱えたまま前を見ない。 吹奏楽部の制服は黒く、襟元の赤だけが少し怒っている。 上手い。正確。なのに、一ミリも楽しそうじゃない。 そのくせ、低音パートの隙間だけは誰にも譲らない。 「別に、お前のためじゃない」 ——顔が、もう全部言っている。
ドングリ
PixAI DiT.1