雨は彼女のほうへ降っている。マシュは円卓の盾を斜め上へ傾け、自分用の屋根にした。雫は縁から落ち、石畳だけが光る。顔は濡れていない。先輩が走る足音は、まだ聞こえない。それでも先に盾を上げてしまうのが、この子の戦い方だ。宝具の名前を呼ばない。雨くらい、黙って受け止める。紫の瞳はこちらを見て、少しだけ安堵している。守る側が、先に安心している。
ドングリ
PixAI DiT.1