八年目の「再会」 #1
落花流水
タクシーから下車した県道沿いは暗かったが、逆に星空が良く見えた。 虚ろな表情の従姉(あね)をひとまず、歩道の隅にあったコンクリートブロックに座らせた。 「従姉ちゃん、大丈夫か? 苦しいなら無理しないで吐いてよ」 「大丈夫。それにせっかく先輩が作ってくれた料理が……」 変なところで義理堅い従姉だった。私は念のため買っておいたミネラルウォーターを手渡した。 ボトルからゆっくり水を飲み始めたのを見届けると、私は財布から小さな四角形の包みを取り出した。 「え……こんな道端で?」 「胃薬だよ!」 どこまで本気なのか。ともかく、そんな悪い冗談が言えるくらいには問題なさそうだった。 しばらく座って休憩し、だいぶ落ち着いた従姉だったが、それでも千鳥足で危なっかしい。 仕方がないので、私がおんぶして家まで送ることにした。 「悪いね。私、重いでしょ?」 「そんなことないよ」 本当は軽くはないが、従姉の家までなら十分歩いて行けそうだった。 「今日は招待した側なのに、見苦しいところ見せちゃったね」 「誰だって、つい飲みすぎるなんてことはあるよ」 「……手際よく座らせて、水と薬を飲ませてくれたし」 従姉はそう言うが、単に大学のサークルやゼミの飲み会で、酔いつぶれる人を何度も見て来た。その度に介抱役をやっていたのが功を奏しただけだった。 「でもさ、情けないねー。私はあんたのお従姉ちゃんなのにさ……」 普段マイペースで飄々としているように見えて、従姉は責任感が強すぎるのだろう。 秋の虫の音に混じって、ウシガエルの野太い声が田んぼから響く中、私たちは見覚えのある歩道を進んでいた。